自分を受け入れる=自己愛

なたが今、どんな状態であろうと、どんな人間であろうと、何を持っていなかろうと、あなたはあなたのままで、価値のある存在です。あらゆる人と比べることができない、唯一無二の存在であり、他のあらゆる人で補うことができません。あなたは、ただ生きているだけで、この世に存在しているだけで、価値があります。

前回本来の自分自身を受け入れることからはじまる-お金、健康、愛、仕事、楽しみという記事の中で、本来の自分自身を受け入れることから、本当の意味での「幸せ」がはじまることについて書きました。人生をより充実した幸せに満ちたものにするために必須の、【健康であること、良好な人間関係、充実した仕事、お金と自由な時間、自分が楽しむ時間】。これらのことは、「今の自分」、地位も名誉も財産もスキルもすべて何もかも取っ払って、ありのままの状態での「自分」という存在=Beingを受け入れることによってのみ、手に入れることができるという内容です。

私たちは幸せな状態になるから、幸せになるのではなく、面白いことや楽しいことがあるから、笑って笑顔になるのではないということです。幸せだから、幸せな状態を作ることができ、笑うから面白いことが起きて、笑顔だから楽しいことが起こるのだということです。

そして、幸せな状態や面白いことが起こること、楽しいことが起こることというのは、コントロールできませんが、幸せだという心で感謝すること、笑顔になること、笑うことは、自分でコントロールすることができます。つまり、私たちはいつでもどこでもどんな状態からでも、自分の望む人間になることができ、自分が求める人生を歩むことができるということです。

で、その源になるのが、ありのままの自分自身を受け入れることなのです。

自己愛は必要か?

日本人の多くが、謙遜を美徳として育ちます。もちろん、謙遜というのは、非常に素晴らしい徳だと想います。謙遜というのは、控え目な様ということができます。しかし、謙遜であれというのは、自分を否定しろというのとは違います。「自分のことを大切にする」「自分のことを愛する」というと、一見「利己的」と捉えてしまいがちですが、それは違います。

聖書には、「自分を愛するように隣人を愛せよ」という言葉があります。これは、自分を愛してその上で、他人を愛しなさいと説いているのであって、自分を嫌って他人を愛しなさいとは言っていません。

商売では、「三方良し」という近江商人の哲学があります。三方良しとは、「売り手良し、買い手良し、世間良し」ということで、売り手とは自分のことです。決して、「売り手悪し」ではないことにご留意下さい。

スティーブンRコヴィ博士がまとめた、7つの習慣でも、インサイドアウトという言葉があります。自分を中心に近いところから優先して大切にしなさいということです。そして、変革するのも、自分自身を変革するところからはじめなさいということです。自分を犠牲にして、周りの人を幸せにすることからはじめよ=アウトサイドイン、とは言っていません。

私たちは、「自分のことを大切にすること」が、「まず」大切になるということです。つまり、自己愛を持つと言うことです。じゃあ、どうすれば大切にできるようになるのでしょうか?

どうやって自己愛を作るのか

前回の記事でも書きましたが、基本的に自分自身を愛すること、自己愛の源泉は3歳までに培われます。人間は、完全に養育が必要な無力な状態で生まれて、周囲に依存して育ちます。その間に主に母親から、完全無防備で完全依存状態で無力なことを承認されて、「あなたは何があっても価値のある存在だ」と言動と行動によって、自己愛の元=心の安全地帯が築かれます。

なので本来的には、自己愛の源=心の安全地帯というのは、自分で満たすことができない領域であって、他人からの「承認のシャワー」を浴びることによってのみ作られることになります。安定した母親と十分な時間を共有することができた子どもは、ほとんど全ての子に、自己愛が作られるので、その子は安定した人生を歩むことになります。

ところが、すべての母親は人間であり、人間である以上、完璧と言うことはありえません。常に不完全であり、あなたの存在を承認することができないケースも多々あります。そうすると子どもは多かれ少なかれ、人生でさまざまなドラマを経験することになり、苦労することが多くなります。

自己愛が十分に育っていないため、自分を大切にできる判断ができなかったり、自信が育まれず、消極的になって誤った判断をすることが多くなるからです。(必ずしも、すべてのケースがそうなるわけではありません。父親や祖父母、出会う人の影響で解消されるケースも多々あります)

では、3歳以上になって、自己愛が足らないケースでは、自己愛を作ることはできないのでしょうか?他者によってのみ作られるということは、誰かに何かしてもらわないと作れないのでしょうか?

自己愛を自分で作る魔法のレッスン

「3つ子の魂100まで」と言われるとおり、本来であれば3歳までの母親からの承認シャワーを浴びることが自己愛を作るもっとも効果的な方法です。しかしもし、自己愛を3歳までに作ることができていなくても、これから作ることは十分可能です。

そして、確かに他人からの承認によってのみ、自己愛は作られますが、そもそも「まったく承認されたことがない」という人はこの世にいません(逆に、常に完全に承認されてきたという人もいません。よくも悪しくも完全というのはないのです)。よく言われる言葉で、「この世の誰からも愛されていない人は、生きていけない」というものがありますが、あなたが今、この世で生きているということは、誰かに愛されているからであり、過去愛された経験があるからです。

我が子を愛しいと感じない母親というのはいません。いろいろな背景や状況から、我が子を大切にできなかった母親というのはいますが、彼女たちは好んでそういう選択をしたわけではありません。本来は、子どもを愛したかったけれど、いろいろな状況があって、愛することができなかった、愛を行動で表現できなかった、その時やむを得なかった、ということができると思います。

なので、この世に生まれ育ってきた方は、多かれ少なかれ愛を受けて育っているので、その根底に自己愛の芽があります。

確かに自己愛は、0→1にするためには、他者の手が必要です。生まれたばかりの子が自己愛を育むのに3年かかるのであれば、大人に自己愛が育つには3倍の9年くらいかかるでしょう。(おそらく自己愛を作る0→1に3年、それが十分育つ1→10に6年くらいかかると予想します)

ですが、基本的にこの世に生きるすべての人には、程度の差こそあれ親からの愛の芽はあるわけなので、あとはそれを育てればよいだけのことになります。0→1は他人の手がないとできませんが、1→100にするには、自分の力でもなんとか育むことができます。

※もちろん、理解あるパートナー(親、配偶者等)を得て、「本当に最悪な自分になったとしても受け入れてもらう経験」を積んで自己愛を築くこともできます。しかし、それは相手あってのことで、自分で完結することはできないので、ここでは自分だけで完結する方法を紹介していきます。

あなたはあなたのままで価値がある

その方法は、「私は、私のままでよい。私は私のままで価値がある。どんな状況になっても私の価値は変わらない」これを何度も何度も口に出して自分に言い聞かせることです。合わせて、鏡の中の自分に向かって、「愛しているよ。あなたをそのままの状態で愛しているよ。これまで大変だったね、でももう大丈夫。あなたは愛されている。」と話しかけることです。

どのくらい言ったらよいかというと、おそらく継続的に毎日続けて、10,000回くらい言えば、かなり自己愛が育まれると想います。

例えば、毎朝5分「私は私のままでよい。私は私のままで価値がある。どんな状況になっても私の価値は変わらない」10回、鏡に向かって「愛しているよ。あなたをそのままの状態で愛しているよ。これまで大変だったね、でももう大丈夫。あなたは愛されている」10回言うことを習慣にすると1年間で、3,650回。おおよそ、3年で10,000回言うことになります。これを朝昼寝る前と1日に3回言うことができたら、おおよそ1年で自己愛が作られることになります。

ポイントは、気持ちを込めていうことです。そして、自分の持っている愛を思いっきり自分自身に注ぐイメージで行って下さい。あなたの声と気持ちがあなた自身に伝わり、あなたの中に自己愛が育まれます。

最初は抵抗があるかもしれませんが、確実に効果がある方法なので、試してみて頂けたらと思います。