債務整理を安くする方法

債務整理を安く済ませる方法
務整理とは、借金を合法的に圧縮する手続きです。過去を清算し、人生を立て直せる非常に有用な制度ですが、基本的に司法書士・弁護士に手続きの代行を依頼することになるため、相応の費用(報酬)がかかります(制度上は自分で行うこともできますが、手間がかかるうえ、圧縮できる借金の額が小さくなってしまうのでおすすめできません)。

 

また、別途実費(郵便代や印紙代など)がかかるほか、場合によっては裁判所費用も払わなければなりません。

 

大抵の場合債務整理で圧縮できる借金額のほうが、債務整理にかかる総費用よりも大きくなりますが、それでもやはり費用は抑えたいものです。

 

一方で、費用を節約しようとするあまり圧縮できる借金の額が小さくなってしまっては本末転倒です。今回は借金を最大限に圧縮しつつ、費用もなるべく抑える方法をわかり易く解説いたしますので、債務整理を行う際には是非参考にしてください。

 

債務整理で発生する費用

債務整理でかかる費用
債務整理にかかる費用は以下の3つに分類できます。

 

司法書士・弁護士に支払う報酬
裁判所に支払う費用
その他実費

 

司法書士・弁護士に支払う報酬

 

債務整理にかかる費用の中でも最も大きなウェイトを占めるのが、司法書士・弁護士に対して払う報酬です。通常は司法書士報酬のほうが弁護士報酬よりも安いですが、司法書士は原則として140万円以下の債務整理しか受け付けられないというルールがあるため注意が必要です。司法書士・弁護士報酬はさらに以下の4つに分類できます。

 

着手金
成功報酬
減額報酬
過払い金報酬

 

着手金

 

司法書士・弁護士に依頼することによって発生する報酬です。債務整理の成功、失敗にかかわらず、必ず支払わなければなりませんが、最近は着手金無料の司法書士・弁護士事務所が増加しているようです。着手金を一度支払った場合、途中で委任解約をしても原則として戻ってこないので、依頼する専門家は慎重に選びましょう。

 

成功報酬

 

債務整理が成功した場合に発生する報酬です。失敗した場合には支払う必要はありません。事務所によって着手金が高くて成功報酬が0だったり、着手金が0で成功報酬が0だったりします。依頼する前に、どちらのほうがより割安かを色々とシミュレーションしてみてください。

 

減額報酬

 

債務整理が成功した場合に、債務の圧縮額に応じて増える報酬です。例えば、減額報酬の割合が10%、債務の圧縮額が50万円の場合、減額報酬は5万円になります。

 

過払い金報酬

 

過去に利息を支払いすぎていた場合(過払い金が発生していた場合)、債務整理を行うとそれが戻ってきます。その場合、戻ってきた額に応じて過払い金報酬が発生します。例えば、過払い金報酬の割合が20%、戻ってきた過払い金が100万円の場合、過払い金報酬は20万円となります。

 

裁判所に支払う費用

 

詳しくは後述しますが、債務整理には「任意整理」「個人民事再生」「自己破産」があります(「特定調停」という方法もあるのですが、ほぼ任意整理の下位互換であるためわざわざ選ぶ必要性は薄いです)。

 

このうち、個人民事再生と自己破産は裁判所を通して行う手続きであるため、裁判所に対しても費用を支払うことになります。費用は予納金という形で支払われ、裁判所は予納金から、手続きに必要な通信費や官報公告費、個人再生委員への報酬などを支払います。予納金を支払わないと、手続きが始まりません。予納金が余った場合は、あとで返還してもらえます。

 

その他実費

 

その他とは、上記の2つに当てはまらない費用です。

 

債務整理の種類

 

先程も少し触れましたが、債務整理には以下の3種類があります。それぞれについて簡単に説明します。

 

任意整理
個人整理
自己破産

 

任意整理

 

任意整理とは、裁判所を通さず、債権者と話し合って借金を減額してもらう制度です。借金の圧縮幅は最も少ないですが、デメリットが小さく手続きが簡単なため、最もよく使われます。ただし、裁判所による強制力がないので、交渉が決裂することもあります。個人で交渉しても話がまとまらない可能性が高いので、必ず司法書士・弁護士を通じて行いましょう。

 

任意整理交渉が成功した場合は通常、将来の利息が0になります。元本そのものは減りませんが、毎月の支払いはかなり楽になります。

 

司法書士・弁護士に依頼した場合の費用相場は概ね以下のとおりです。

 

項目 司法書士 弁護士
着手金 0円 0円~債権者数×2~4万円
成功報酬 債権者数×2~3万円 債権者数×2~3万円
減額報酬 減額幅×0~10% 減額幅×10%
過払い金報酬 回収額×20% 回収額×20%
その他実費 ~2万円 ~2万円

 

例:着手金無料、成功報酬3万円/件、減額報酬10%、過払い金なし、実費1万円の弁護士事務所で、2社の債務を合計40万円減額した場合の総費用

 

費用=0円(着手金)3万円×2件(成功報酬)+40万円×10%(減額報酬)+0円(過払い金報酬)+1万円=11万円
純減額幅(減額幅-費用)=40万円-11万円=29万円

 

個人再生

 

個人再生は、原則として借金を5分の1にする制度です。任意整理と違い、裁判所を通して行います。任意整理と比べて借金の減額幅が圧倒的に大きく、なおかつ自宅を手放さずに手続きできるのが大きなメリットです。もちろん、自宅を手放さない場合、住宅ローンは減額とはなりません。

 

また、通常個人再生をすると裁判所が個人再生委員を選出します。個人再生委員とは、個人再生の作業を確認する人物です。弁護士に依頼した場合は、通常はその弁護士を個人再生委員とすることも可能ですが、東京地方裁判所など一部の裁判所はそれができません。個人再生委員をつける場合は、彼らへの報酬も必要になります。

 

個人再生は債務整理の中でも特に手続きが非常に煩雑なので、必ず司法書士・弁護士を通じて行いましょう。

 

司法書士・弁護士に依頼した場合の費用相場は以下のとおりです。

 

項目 司法書士 弁護士
裁判所に払う費用(個人再生委員報酬除く) 3万円 3万円
個人再生委員報酬 25万円 0円~15万円
司法書士・弁護士費用 20万円~30万円 35万円~50万円

 

例:裁判所に払う費用3万円、個人再生費用15万円、弁護士費用40万円の弁護士事務所で、500万円の借金を400万円減額した場合

 

総費用=3万円(裁判所に払う費用)+15万円(個人再生委員報酬)+40万円(専門家費用)=58万円
純減額幅(減額幅-費用)=400万円-58万円=342万円

 

自己破産

 

自己破産は、債務をすべてなくす制度です。例外的になくせない債務(未納の税金など)はありますが、それらを除けば借金がチャラになります。最もメリットが大きい反面、高額な財産は没収され債権者に振り分けられるなどデメリットも大きいため、利用者数はあまり多くありません。ただ、借金の額が非常に多く、なおかつ目立った財産もない場合は実質的にこれ一択になります。

 

なお、自己破産には処分する財産が少ない「同時廃止事件」と、多い「管財事件」、中間の「少額管財事件」があります。少額管財事件は、弁護士に依頼した破産者のみが使えます。管財事件、少額管財事件の場合、裁判所が破産管財人を選出します。全自己破産のうち同時廃止事件が占める割合は約60%です。

 

破産管財人は債務者の財産を適切に管理・換価する立場の人物です。そういう決まりがあるわけではありませんが、通常は弁護士が破産管財人になります。債務者が依頼する弁護士と破産管財人は別の人物です(破産管財人は中立でなければならないため)。

 

自己破産は個人再生についで手続きが非常に煩雑なので、必ず司法書士・弁護士を通じて行いましょう。

 

司法書士・弁護士に依頼した場合の費用相場は以下のとおりです。

 

 

項目名 司法書士 弁護士(同時廃止事件) 弁護士(少額管財事件)
裁判所に払う費用(破産管財人に払う費用除く) 3万円 3万円 3万円
破産管財人報酬 0円~50万円 0万円 20万円
司法書士・弁護士費用 10万円~30万円 20万円~40万円 20万円~40万円

例:裁判所に払う費用3万円、破産管財人報酬20万円、弁護士費用30万円の弁護士事務所で2000万円の自己破産をした場合

 

総費用=3万円(裁判所に払う費用)+20万円(破産管財人報酬)+30万円=53万円
純減額幅(減額幅-費用)=2000万円-53万円=1947万円

 

債務整理を安く済ませる方法

債務整理を安く済ませる方法
債務整理を安く済ませたい場合は、必ず複数の司法書士・弁護士事務所の費用を比較しましょう。着手金、成功報酬、減額報酬、過払い金報酬の合計を比較すれば確実ですが、それが面倒だという場合は成功報酬だけを比較するだけでも十分です。成功報酬は最も司法書士・弁護士事務所によって差が出やすいからです。

 

それでも高すぎるという場合は、法テラス(後述)を利用するといいでしょう。

 

報酬の支払い方法

 

報酬の支払い方は原則として以下の2つです。

 

一括払い
分割払い

 

ほとんどの司法書士・弁護士事務所は分割払いを受け付けています。債務整理をしようとしている人の懐事情をわかっているからです。

 

裁判所に事前に支払う予納金は原則として一括払いですが、どうしても用意できないという場合は分割払いを認めてもらえることが多いです。分割期間の相場は4ヶ月程度です。

 

法テラス利用時の費用は決まっている

 

法テラスの民事法律扶助制度を使うと、直接法律事務所に行くよりもより安く司法書士・弁護士に依頼できます。報酬はあらかじめ決まっており、例えば自己破産の場合司法書士は8万6400円、弁護士は12万9600~27万5657 円の報酬となっています。立替制度もあるため、報酬が一括払いできなくても問題ありません。

 

ただし、法テラスは誰でも利用できるわけではなく、収入と資産に関する要件があります。要するに、収入や資産が少ない人しか使えないのです。

 

債務整理を依頼する手順

債務整理を依頼する手順
まずはめぼしい司法書士・弁護士事務所を探し、メールか電話で相談をします。探し方のポイントは、債務整理に対する対応力です。すべての司法書士・弁護士が債務整理に強いわけではありません。債務整理に強い人もいれば、離婚問題に強い人もいますし、労働問題に強い人も居ます。当然、選ぶべきは債務整理に強い人です。ホームページの実績紹介などをよく読んで、その司法書士・弁護士の能力を確認しましょう。

 

良さそうな司法書士・弁護士事務所がないという場合は、インターネットの口コミを参考にしたり、各都道府県の弁護士会に相談したりしてみてください。

 

なお、相談の前には現在の借金額や返済状況などをまとめておきましょう。多くの情報を伝えたほうが、司法書士・弁護士は最適な結論を出しやすくなります。
次に、司法書士・弁護士と面談を行います。実際に会い、借入額や収入などを元に返済計画を建てていきます。計画に問題がないと判断できたら、委任契約を行います。契約後、司法書士・弁護士は債権者に「私が債務者の間に入ります」という連絡をします(受任通知)。

 

そのため、原則としてその後債権者から連絡が来ることはなくなります。万が一来た場合は、対応せずすぐに司法書士・弁護士に相談しましょう。

 

司法書士と弁護士の違い

司法書士と弁護士の違い
平成28年6月27日の判決により、司法書士は債務額が140万円以下の場合のみ債務整理を行えるようになりました。

 

過払い金の対応などの債務整理で、いくらまでなら司法書士が弁護士の代わりに引き受けられるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は27日、「借金の額が140万円を超える場合、司法書士は代理できない」との初判断を示した。弁護士側の主張を認め、司法書士の業務範囲の厳格な運用を求める判決が確定した。

 

引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27HDH_X20C16A6CR8000/

 

この140万円というのは1債権者に対する金額です。例えば借金の合計額が200万円でも、2つの債権者からそれぞれ100万円ずつ借りているという場合、司法書士は手続きができます。1つの債権者から200万円借りているという場合はできません。

 

となると司法書士に依頼するメリットはあまりないかのようにも見えますが、司法書士報酬は弁護士報酬と比べるとやや低めに設定されている事が多いです。借金の額があまり多くないという場合は、司法書士を選んでもいいでしょう。ただし、個人再生の場合は個人再生委員報酬があるため、弁護士に依頼したほうが総費用が安くなるケースも多いです。

 

債務整理を安く済ませる方法まとめ

債務整理を安く済ませる方法まとめ
債務整理を安く済ませる基本的なコツは、複数の司法書士・弁護士をよく比較することです。大まかな相場はすでに作成されていますが、それでもその中でも安い高いがあります。債務が少ない場合は、司法書士のもとで任意整理をすると安上がりです。

 

また、債務整理に強い弁護士に依頼すれば、圧縮幅が大きくなるため、純減額幅を大きくできます。

 

費用が払えないという時は、法テラスを通じて弁護士を紹介してもらうといいでしょう。費用上限が定まっているので安心して依頼できますし、立替えにも対応してもらえます。色々と工夫して、安く確実に債務整理を済ませましょう。

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